椎間板ヘルニアとは

- What is the Hernia -

まず、「ヘルニアって何?」というところから簡単に解説します。
ヘルニアとは、体腔(たいくう)の内側を覆っている膜が、先天的または後天的に生じた裂け目から臓器や組織を包んだまま袋状に逸脱した状態と定義されています。

広辞苑では「椎間板の線維輪に変性・損傷があって、髄核が後方に脱出し、脊髄や神経根を圧迫して神経症状をおこす病態。特に下位腰椎に最も多く、この場合、坐骨神経痛の症状を呈する。」とあります。

椎間板ヘルニアには、腰椎椎間板ヘルニア、頚椎椎間板ヘルニアがあります。
腰椎とは、脊椎の骨のうち腰にあたる部分の5個の骨で、頚椎とは、脊柱上部の7個の骨を指します。
椎間板とは、脊椎の上下に隣り合う椎体(骨)を結合している円盤状の軟骨。中心部分を髄核といい周辺の硬い部分を繊維輪といい、中央のゼリー状の髄核を繊維輪が囲む構造で、衝撃を和らげる働きもします。

そして、その椎間板が飛び出したものが、椎間板のすぐ近くの神経を圧迫し、これが痛みやしびれの原因になっているといわれています。

また、ヘルニアは腰椎の中でも4番5番に特に多いです。椎間板ヘルニアは椎間板のどこでも起こりうるものですが、多くの場合は四番と五番の腰椎間にて起こることが多いようです。何故なら上体の重みや力などの圧力が脊椎と骨盤の連結部分である「第4・5腰椎」に集中してかかる為にどうしても他の椎骨に比べると過負荷になりやすく、疲労も蓄積されやすいからです。

椎間板ヘルニアの原因

- Cause of Hernia -

では、なぜヘルニアになるのでしょうか?

1.加齢による椎間板ヘルニア

年齢を重ねると骨は、もろくなってきます。また、椎間板は20歳を過ぎた頃から、だんだんと弾力性が欠けてゆくと言われていて、老化が進むにつれて水分が少なくなり、柔軟性がなくなってきます。そうすると、少しの衝撃でもしっかり吸収しきれなくなり、髄核を囲む繊維輪軟骨にヒビが入り、そのヒビから髄核が外へと露出してしまいます。

2.骨粗しょう症による椎間板ヘルニア

「骨粗しょう症」になると、ちょっとした動作による衝撃や圧迫に耐えられず、髄核が突出しやすくなります。また最近では、「骨粗しょう症」が原因の椎間板ヘルニアが若い世代にも増えてきています。若い世代の「偏食」「夜更かし」「栄養不足」「運動不足」といった不規則な日常生活が骨の健康を害し、椎間板ヘルニアの原因となってしまっているのです。

3.体の歪み・ズレによる椎間板ヘルニア

「悪い姿勢」、「偏った動作」によって「歪んだ姿勢→背骨・骨盤のズレ→体の負荷がアンバランス→一部の筋肉に疲労蓄積→筋肉の機能不全→椎間板ヘルニア」という図式です。
また、「姿勢の歪み」は日常生活(パソコンや運転など長時間同じ姿勢を続ける、足を組む、寝る姿勢、掃除機かけ、料理・皿洗いなどの家事など)そして、重い荷物を持つ、普段しないことを急にする、スポーツの動作、そして運動不足も原因となり、ある意味人間である以上、防ぎようがありません。実際、「人間が2足歩行をするようになった時点で、背骨に負担をかけてしまう宿命を背負った」という学者もいます。

椎間板ヘルニアの症状

- Symptom of Hernia -

ヘルニアの初期症状を以下に列挙します。個人差がありますが、激痛を伴う痛みを訴える方が多いです。腰痛・痺れ・感覚障害・など色々な箇所・状況において見られます。主には頸部〜足にかけての激痛です。具体的な症状を以下にいくつかあげてみます。

・歩行困難
・咳・クシャミをしたら腰に激痛が走る(痛みが響くような感じ)
・腰から足先にかけてしびれや痛み
・座った状態から立ち上がるのが辛い。
・前かがみの姿勢が辛い(椅子に座っていて背中を丸めると痺れが走る)
・少し歩いただけで腰から下に放散痛(ビリビリ、ジーンとした痛み)が起きる
・立ち続ける、または座り続けることが大変辛い。30分も我慢することが困難。
・座って脚を前に伸ばす運動がきつい
・脚に触っても、触っている感覚が鈍い。
・運動時、妙に足が重く、反応が鈍い。
・ちょっとの時間(15分位)で、椅子に腰掛けているのが辛くなる。
・30分以上歩くと腰が痛くなる。
・腰痛(坐骨神経痛など 坐骨神経痛の知恵袋はコチラ )
・体温の調節がうまく行かず足が冷たい
・感覚障害 (触っても感覚が薄いなど)

などが挙げられます。 また、重度の椎間板ヘルニアになると、以下のような症状となります。

・転げまわるほどの激痛
・感覚が失われる

(触っても感覚がない、体温の調節がうまく行かず冷え性になる、下半身に関する全ての感覚の鈍り・・・自分でトイレに行きたいかどうかが解らなくなる・排尿障害・便秘・頻尿・インポテンツなど)

椎間板ヘルニアの治し方

- How to cure Hernia -

最初は絶対安静
唐突の椎間板ヘルニアにどうして良いのかわからなくなってしまった場合、まずは「絶対安静」で横になりましょう。特に若年層の場合、「まさか」といった気持ちが強く、自分の症状を確認する為に、また椎間板ヘルニアではないと自分で納得する材料欲しさに無理に腰を動かそうとして、余計に状況を悪化させるケースが多いです。これは「最もしてはならない選択」のひとつで、症状の悪化を進めることになります。日常生活への復帰が遠くなるだけですので痺れを自覚したらすぐに安静にするようにして下さい。

西洋医学(病院・整形外科など)での治療法

病院や整形外科などの医療機関で受診した場合以下のような流れで治療が行わるのが多いです。

ステップ0 「レントゲン」「MRI」による検査

診察では、「脊椎が弯曲してないか」「足・お尻の筋肉が萎縮してないか」などの確認を行ったり、 背中・腰を触診して脊柱の異常の有無を確かめます。そして診断の裏づけを取る為に「エックス線撮影」を、更に詳しく椎間板の状態を調べるのに「MRI検査」を行います。また場合によっては更に詳しく調べる為に造影剤を使用した「脊髄造影椎間板造影」・「神経根造影」「CT検査」を行う場合がありますが、殆どの場合は「エックス線撮影(レントゲン)」と「MRI」で十分という意見が多いです。上記検査の上、「頚椎椎間板ヘルニア」と診断された場合、どの様な処置が取られるかというと、

ステップ1 消炎鎮痛剤・筋弛緩剤等の注射を含めた投薬

ステップ2 消炎鎮痛剤の含まれた塗布薬の塗布/貼付

ステップ3 コルセットの着用や安静指導

ステップ4 牽引療法・温熱療法・電気療法などの物理療法

という流れが一般的で、以上を「保存療法」と言います。
「保存療法」の内容の詳細を知りたい方はコチラのページをご覧ください。

そして症状が重度の場合、及び保存療法では効果が見られない場合

ステップ5 外科手術

となり、手術には以下の種類があります。

『LOVE法』
『経皮的髄核摘出術PN法』
『内視鏡下ヘルニア摘出術MED法』
『脊椎固定術』
『レーザー治療』
『経皮的椎体形成術』

「手術」の内容の詳細を知りたい方はコチラのページをご覧ください。

但し、手術に至る基準は、学会内においても確立されておらず、手術をしても再発される方もいます。
また、有名なレーザー手術は、重度の症状の場合や症状によっては不向きな場合もあります。上記の治療は、主に病院・整形外科で行われます。

東洋医学(接骨院・治療院)での治療

東洋医学での治療法は、投薬・手術は一切行わず、改善を図る療法です。
実際、東洋医学での治療法も、西洋医学と同じく多岐にわたります。椎間板ヘルニアの施術を得意としていて、臨床経験の豊富な、実績がある院選びをすれば、数回の治療でも結果が出せる院も存在します。 しかし、世の中にその様な院が紹介されないのは、 強い広告規制の存在が大きく、実績や改善事例を表に出すことができていない現状があるという現実があります。

ケース1 マッサージ療法

症状部位を、手技にてマッサージすることで、症状の緩解を促します。

ケース2 牽引、赤外線、温熱治療などの理学療法

整形外科と同じく、治療機器を使った療法。

ケース3 整体・カイロプラクティック等の手技療法

全身からのアプローチで施術を進めていきます。

ただし、強いアジャスト(瞬発的な矯正)を加える手技もあり、治療法、治療院選びを慎重にされることをおすすめします。 院の治療方法や治療方針など、ホームページを見たり直接電話をかけてみて、自分で納得してから治療へ行くことをお勧めします。
ヘルニアは様々な原因で発生します。自己判断はせず、必ず専門家の指示を仰ぎましょう。はらべ鍼灸整体院では「原辺式治療法」を採用し、痛みやしびれの原因を根本的に治療しています。